ある日、私は普段通りに学校へ向かって歩いていた。朝の日差しが暖かく、風はそよそよと吹いていて、とても気持ちの良い朝だった。しかし、私の心は少し重かった。明日は期末試験で、まだまだ復習が足りないような気がしていたからだ。
そんな時、道端で一冊のノートが落ちているのを見つけた。表紙には「メモカ」と書かれていて、何とも不思議な雰囲気を醸し出していた。私はそのノートを拾い上げ、ページをめくってみた。すると、どのページにも何も書かれていない。ただ、紙の質感がとても柔らかく、独特の香りがした。
「これは一体何だろう?」私は首を傾げながら、ノートを持って学校へ向かった。
その日の授業はいつも通り進んでいたが、私の心はメモカのことでいっぱいだった。放課後、私は一人で教室に残り、メモカを取り出してじっくりと眺めた。
突然、ノートのページが自分からめくれていく。そして、目の前には一冊の新しいノートが現れた。驚いて目を見開くと、そのノートには私が今までに学んだことや、これから学ぶべき内容がすべて書かれていた。
「これは…夢を見ているのではないか?」私は自分の目を疑った。しかし、それは現実だった。メモカは私の知識を吸収し、必要な時に必要な情報を提供してくれるのだ。
明日は期末試験だ。私はメモカを持って家に帰り、徹夜で復習を始めた。しかし、メモELMOは必要な情報をすべて教えてくれたので、私は安心して眠ることができた。
翌朝、私は自信満々で試験会場に向かった。試験問題は難しくなかったが、私はメモカのおかげですべての問題に答えることができた。
試験が終わり、私はメモカを抱えて教室に戻った。すると、担任の先生が私を呼び止めた。
「そのノートはどうしたの?」先生はメモカを指さしながら尋ねた。
「えっと、道端で拾ったんです。それに、不思議な力があるみたいで…」私は事情を説明した。
先生はメモカを手に取り、じっくりと眺めた後、深いため息をついた。「実は、そのノートは私が昔使っていたものなんだ。私もある時、不思議な力を発見したんだよ。それは、メモカが持ち主の知識を吸収し、必要な時に必要な情報を提供してくれるというものだった。しかし、その力は使い続けると、持ち主の記憶を奪ってしまうという副作用があるんだ」
私は驚いて言葉を失った。自分が知識を得るために使っていたメモカが、実は記憶を奪うとは…
先生からメモカの秘密を聞いた後、私は考えに悩んだ。メモカは確かに便利な力を持っていたが、それが自分の記憶を奪うというのは受け入れがたい。
結局、私はメモカを先生に返すことにした。先生はメモカを受け取り、静かに教室を出て行った。
私は窓から外を見ながら、メモカとの別れを惜しんだ。しかし、同時に、自分の記憶を守るためにも、これが最善の選択だと思った。
そして、私は新しいノートを取り出し、自分の手で一生懸命勉強を始めた。メモカの力はもう必要ない。私は自分の力で知識を得ることができるからだ。